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一橋地理の攻略マニュアル!(前編)

一橋大学の入試科目「地理歴史等」では「世界史」「日本史」「地理」「倫理、政治・経済」「ビジネス基礎」の5科目のうちから1科目選んで回答することが求められます。

試験問題はこの5科目がセットになったものが配られ、試験開始後に解答科目を選択することになっています。

試験時間は共通で120分、解答用紙は共通の1枚で、表面が解答科目記入欄と大問Ⅰの解答欄、裏面が大問Ⅱと大問Ⅲの解答欄です。

解答欄は大問ごとに25字×16行で400字分、合計1200字分与えられています。

東京大学の地理歴史の解答欄は一行が30字分であるなど、各大学の入試問題によって解答欄の1行の字数が異なるので、過去問において行数を指定する問題については気をつけてください。

ここではこれから一橋の「地理」について説明をします。

出題形式と難易度

地歴等における他の科目と同様に大問Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの3題構成で、解答形式は基本的に論述です。

一部に記号選択や単語の記述などの問題もありますが、全く出題のない大問も多々あります。

論述は最短のもので1行の25字ですが、あまり多くはありません。

多くの論述は50字から125字程度です。

最長の字数は近年125~150字程度でしたが、2017年度には200字の論述を求める問題が出題されました。

およそ15年以上前の入試問題には200~400字程度の論述問題もたくさん出題されていたため、この200字論述はある意味で長文論述の”復活”であるともいえます。

年度以降すぐに400字級の超長文論述が出題されるとは考えにくいですが、200字以上の論述が求められる恐れがあることは気に留めておいてよいでしょう。

しかし後述するように一橋に限らず大学受験の地理論述は基本的に、基本的な構造さえつかめれば比較的容易に書けるものです。

ですから、解答字数が増えることをとりわけ恐れる必要はありません。

単語の記述書き取り問題は文中の空欄を埋めるもの、表やグラフにおける国名などを答えるもの、一問一答式に該当する語を答えるものなどその問い方は多岐にわたります。

また、答える単語のレベルも一橋受験云々以前に高校地理学習者として常識的であるといえるレベルから高校の学習指導要領を逸脱するどころか高校の地理教師でさえ知らない高いレベルまで多岐にわたります。

それにもかかわらず出題数は少ないため、とりわけの対策をする必要はありません。

易しい問題なら皆さんなら絶対に間違えませんし、一方で難しいマニアックな単語が答えられたとしても大したアドにはなりませんし、間違えても不利にはなりません。

私立大学の地理受験を併願しているのでなければ、一問一答の問題集などを購入する必要はありません。

しかし、早稲田大や立教大をはじめとして一橋大受験生の併願するであろう偏差値帯の私立大学では一問一答の範囲を超えた出題がかなりみられるので、私立大学の地理受験を併願しているとしても、一問一答はあまり重要でありません。

選択肢問題はそれ自体が単体で出題されることはあまりなく、多くが単語の記述と合わせて出題されます。記述問題と同様にこちらもとても易しい問題からとても難しいものまで、何が出るかは当日のお楽しみです。

なお、記述問題と選択肢問題においては、易しい問題(センターレベル程度以下)であればその解答を利用しなくては以降の小問の論述が解けなくなる問題がいくつかあります。

そのような問題は絶対に間違えないようにしましょう。間違えると他の受験生に圧倒的な差をつけられます。

解答欄の使い方

はじめに述べた通り一橋大学の地歴等では5科目で解答用紙は共通なのに解答形式はバラバラです。

地理の問題は他の科目に比べて大問の中における小問の数が多いのが特徴です。

そんな地理の解答に当たっては以下の3つの点に注意してください。

・小問1問ずつ改行する
・問題番号も解答欄の中に記入する(問題番号の数字だけでよい)
・問題番号も解答字数にカウントされる

また、単語記述の問題では問題の指示によってはマス目を無視した解答が求められることがあります。

具体的な見本としては駿台一橋大実戦模試の過去問題集の模範解答などが正しい書式ですので、時間があれば確認しておくことをオススメします。

分析と攻略

人文地理、特に経済地理からの出題が多い

高校地理の学習内容は、地形や気候にまつわる自然地理の分野と、経済や生活にまつわる人文地理の分野に大別されます。

高校まではいずれの分野も文系科目「地理」として扱われますが、大学以降では、自然地理は自然科学、いわゆる理系の学問の一領域としてあつかわれます。

そのため、社会科学に特化した一橋大学の入試問題には自然地理の分野からの出題はほとんどありません。

これは今後も変わることがありません。

。なぜならば、自然地理学や自然環境学に特化した研究者が一橋大学にはほとんどいないため十分なクォリティの自然地理の作問が難しいからです。

また、さらに言えば一橋大学は伝統的に商業や経済に関して先進的な研究と教育を進めてきた大学です。

そのため、経済学的観点を持った研究者が多く、また大学側としてもそのような観点を豊かに養った学生を入学させたいという思いがあるのでしょう、出題内容が経済に絡んでくるものが多いです。

しかし、だからといって人文地理、特に経済地理といわれてもパッとしない人が多くいると思います。

そして、高校地理を学習する上で人文地理と経済地理に絞って学習するのは、あまり効率的ではありません。

そもそも地理学とは、平面的な・空間的な要因が社会に対してどのような影響を与えているのかを探求し記述する学問ですから、最終的に入試では人文的・経済的な出題がなされたとしても、その背景にある自然科学的な、あるいは歴史的な原因を理解するのは重要なことですし、地理を学ぶものとして求められているものです。

ですから、一橋大学の地理のために人文地理や経済地理に特化した学習をするのではなく、教科書や参考書に書いてある事柄はどの範囲からもまんべんなく学習することが大切です。

そのうえで、例えば「データブックオブザワールド」などの統計書のデータを眺めながらその背景を自分で考えるなど自主的な経済地理学的思考をすることで一橋大学の地理で及第点を超えることができるようになります。

「題意をつかむ」ことが一橋地理のカギ

一般に、受験で出題される大問は、その大問の中でテーマが完結している場合が多いですが、一橋大学の地理では特にその傾向が顕著です。

他大学のよくある地理の出題のようにリード文が何らかのテーマにそっている程度ではありません。

一橋の世界史や日本史のように、時系列的・テーマ的に関係のある流れが出題される程度ではありません。

リード文の始めから、その大問の最後の小問までが一つの理論として構築されていることが頻繁にあるのです。

一橋の地理の出題は、大問一つが一つの地理学的研究のようであるととらえても問題ありません。

リード文と問いが、最後の小問という結論に向けての理論である場合がよくあるのです。

ですから、一橋大学の地理では大問ごとに「題意をつかむ」ことが非常に重要です。

この大問、このリード文ではこのようなことを述べたいのだろうな、と理解できるように、リード文を読みながら、初めの小問を解きながら大きな視点になって考えると、その先の問題を解くために通じるルートがパッとみえてくることが割とよくあります。

このような場合でなかったとしても、一見関係なさそうな小問同士が、実は同様の背景を抱えている、など、とにかく一つの大問の中でリード文と小問の間に伏線を張りまくるのが一橋地理の十八番です。

結局求められるのは細かい視点で丁寧に問題を解くことですが、そのためにも「題意をつかむ」ことを少し意識してみましょう。

知識も重要だが、与えられた情報を取捨選択して地理学的に結び付けることが重要 

他大学の地理の出題と一橋大の地理の出題におけるもっとも大きな違いの一つに、地理の知識と地理の思考法のウェイトの異なりが挙げられます。

私立大学の地理の出題では知識の有無を問う一問一答が多く見られ、地理学的思考はあまり重視されていないように感じられます。

センター試験や東京大学・京都大学では、一般的な私立大学よりは知識偏重ではなく論理的思考が重視されていますが、それでもその思考のために必要なものは教科書的な理論や知識が多く認められます。

一方で、一橋大学の地理では教科書的な知識を超えた範囲で地理的思考がしばしば求められます。

具体的には、教科書や参考書では見たこともないような話題についてのリード文や統計が提示されて、それをもとに考えなくてはならない問題がよく出題されます。

そのような問題を解くためには、そのテーマに沿った知識が必要ですが、そのような知識がない以上受験生にはたちうちできないのでしょうか。

いいえ、そうではありません。

はじめてのテーマの出題のための知識は、リード文の中と与えられた統計の中にすべて準備されています。

一橋大学の地理では他大学の地理に比べてリード文が長く統計の多い傾向がありますが、それらは全く無駄なものではありません。

ヒント、いやむしろ答えです。

与えられた膨大な情報の中から、解答のための論理のための鍵を的確に抜き出す力が求められます。

一度抜き出すことが出来れば、あとはそれを並べるだけなので大して難しくはありません。

実際に、論述問題と称しながら、リード文からの抜き出しで正解となるような小問さえごくまれではありますが出題されます。

しかし、「論理のための鍵を的確に抜き出す力」を身に着けるためには、特に変わった学習方法は必要ではありません。

なぜならば、見たこともないようなデータや知識が与えられたとしても、そのそれぞれの相関になるための根本的な構造は、地理学的には基本中の基本であることが多いからです。

重要なのは、基本であるがゆえに見落としがちな、細かい理論のための枠組みである大元の構造にどれだけ早く気付けるかです。

すなわち、知らないデータだけれども知っているあの理論とおんなじカタチをした理論で因果が見える、と問題を見て気付けることが重要です。

そしてそのためには、普段から教科書的・参考書的であれ、さまざまな地理の論理や知識に触れておくことが重要です。

いろいろなタイプの引き出しにいろいろな知識を詰め込んでおけば、似たような引き出しを試験時間の中で作ることが出来るのです。

話が抽象的でわかりにくかったかもしれませんが、「リード文や表やグラフなどのデータは重要であるから絶対に漏らさずに確認する」「平素の地道な努力で知らないテーマの出題にも臨機応変に対応できる」ことがこの節の要旨です。

論述の基本は「因果」そして「対比」、指定字数も参考にする

具体的な解答の話に移りましょう。地理論述で最も多い基本の形は「原因と結果」の形です。

すなわち、なんらかについて述べるように指示されたら「○○だから××である」の形で述べるのが基本です。

の基本の形をもとに、「Aは○○だから××であるが、Bは△△だから☆☆である」のような対比の形もよく使われます。

これは一橋地理に限った話ではなく一般的な地理論述に関していえることではあります。

かし、解答の際に何をどのように書けばいいのかわからなければ、この基本の形を作るために何が求められているのかを考えることは重要です。

特に、一橋の地理では、指定字数がそのヒントになることがよくあります。

一橋地理では、「1行に1要素」が鉄板です。

「○○だから××である」なら2行、「□□な○○は××である」とか「○○は××でありまた☆☆でもある」なら3行といった具合です。

。もちろん大学側から与えられた確かな情報ではないため過信は禁物ですが、論述の際に気を払ってみる価値は十分にあります。

特に、この形に落とし込もうとすることで一つ一つの要素のバランスが良くなることで、論述として読みやすく、意味に過不足のない「きれいな答案」を作成できます。

実際に、要素のウェイトに差がある答案には、ウェイトの軽い要素には採点基準となるであろうポイントが抜けていることが多く、ウェイトの重い要素には得点にならない無駄な修飾や修辞があるのがほとんどです。

この「1行で1要素」の考え方は、このように答案が正しいかどうかのチェックにも使えるので、騙されたと思って取り入れてみることを強くお勧めします。

なお、蛇足ではありますが、一橋地理のために東大地理を練習に演習する受験生も多くいると思いますが、東大地理の解答に当たっては「1行(30字)に2要素」を意識しながら解くと解きやすくなります。

歴史、特に世界史の知識が求められる

一橋大学の論述では、与えられたテーマが知っているものであるにせよ、知らないものであるにせよ、「地理」という科目である以上、その地域に関する何らかの知識が解答の要素となっていることがほとんどです。

そのための足掛かりになるのは、その地域の文化や経済などの現代社会の地理的な特徴やそれを形成するための自然地理的な特色が、学習指導要領に従順で地理の試験は「地理」の範囲から出そうとする他大学では出題のメインとなっていますが、一橋大学では第三のファクターとして、その地域に関する歴史的事象も前提知識として求めてくることが割とよくあります。

高校では世界史が必修だからでしょうか、一橋の受験生はセンター試験で社会から2科目選択しているから大丈夫だと思っているのでしょうか、とにかく出題者は地理の教科書を無視して、前提条件として歴史を絡めた問題を出題します(そのくせ、倫理とか政経とか、あるいは時事問題の知識と絡めてくることはほとんどありませんが)。

もちろん、あくまでも試験科目は地理であるために歴史的な論理が答えになる出題はほとんどありませんが(実のところ、ごくまれにある)、それでもある程度の歴史、特に出題が世界の地理からが多い分世界史に関する知識はほとんど必須といえます。

もちろん、地理の勉強と同じくらいガツガツと世界史を勉強する必要はありませんが、例えば高2の間に世界史Aで構いませんので、世界史の復習を一通り済ませておくとか、もし高3ならいまからでも世界史を選択していなくても世界史の教科書を引っ張り出してきて1回2回通読する時間はあるはずです。

そして、もし高1以下で一橋を地理で受けようとしているのなら、センター試験では地理に対するもう一方の科目として世界史を選択することを非常に強くオススメします。

細かい知識問題はボーナス、落とせないのはセンターレベルの選択肢

「出題形式と難易度」の箇所でも述べましたが、数問出題される細かい知識問題はボーナス問題と考えて差し支えありません。

高校や予備校の地理教師でも知らない単語さえ出題されます。

誰でも書ける基本用語以外は、知らなかったとしても全く気に病む必要はありません。

ただし、一橋では論述で自然地理の出題が研究者不足で上述の通り「できない」ぶん、一問一答式に自然地理用語を問うてくることが最近みられるようになりました。

そして、大学側も受験生が自然地理をおろそかにしていることを危惧したのでしょうか、その自然地理用語のチョイスは教科書や参考書の端に載っているニッチな単語からの出題率が高いです。

これに関しては、決して無謀な学習ではありませんから、受験直前には自然地理用語をおさらいしておく価値はあります。

高2以下であれば、確かに「地理は暗記科目ではない」などといった意見もありますが、特に自然地理に関しては細かい用語を覚える学習をしても無駄ではありません(蛇足ですが、センター試験で地学基礎を選択したらお互いにメリットになります)。

しかし、自然地理用語は例外中の例外、基本的にはやはり一橋地理の一問一答に対策を施す必要はありません。

一方で絶対に落とせないのはセンターレベルの選択肢です。出題形式もセンター試験に似ています。

こういった問題を解くためには、一橋特有の地理的思考ではなくて、教科書・参考書的な知識や理論です。

日々の基本的な学習がものを言います。そして、このような問題の恐ろしいところは、その選択肢が間違っているとそれ以降の小問が解けなくなることが多いということです。

まさに、「センターさえできないのならば一橋に来るな」とでも言わんばかりです。

一橋地理対策をしているのならわざわざセンター対策をする必要はあまりないですが、「センターの問題をとける」ための攻略法は、センターのためにも、そして二次試験のためにも、武器として欠かせないものであると言えます。



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