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近代文語文を解く際に注意すべきこと

文語文には漢文とも古文とも異なる言い回しや用法が多く、しっかりとした対策が必要です。ここでは大きく分けて4つポイントを挙げています。まずは用法をチェックしてから演習に臨みましょう。何となくの読解が体系的になり、読解や解答に安定感が出るでしょう。

二重否定

否定を二度繰り返すことで強い肯定を表します。

・ざるべからず
・不可なるなき
・ざるをえず

二重否定に慣れないうちは少し読みづらいかもしれませんが、近代文語文では頻出表現なので馴染んでいきましょう。

準体法

連体形が体言をも含んでいるとして名詞に準じた働きをするときがあります。この場合、連体形の下に「の・とき・こと・もの」などを補って訳す必要があります。

例 疑わざるにはしかじ(疑わないのに越したことはない)

また、体言や連体形の下の助詞(が・は・を)は省略されていることがあります。この場合、助詞を補って訳す必要があります。こちらは古文でも頻出のパターンなので、抵抗は少ないでしょう。

例 真理少なければ、偽詐多からざるを得ず(真理が少ないと、うそが多くならざるを得ない) 

「べし」の用法

近代文語文における「べし」は古文や漢文における「べし」とは趣を異にします。大学入試によく出題される近代文語文における「べし」には一定のパターンがあるため、ここで紹介します。

明治初期、日本では明治維新や文明開化、戦争など相次ぐ急激な変化や事件により社会情勢はかなり混沌としていました。そこでこのような不満足な現状を何とかしようと、文化人たちは人々を啓蒙し教え導こうとしました。その人々の啓蒙のために書かれたものが近代文語文です。

したがって、近代文語文の基本的な論理パターンとして、次のような、人々を啓発して教え導こうという明確な論理があります。

①不満足な国家や国民の現状がある。

②それに対しての主張を述べる。

筆者にとっては不満な国家や国民は間違った考えに固執し、教養に欠ける存在です。そこで彼らを啓発し教え導くために様々な例や比喩を駆使して「現状は間違っている、このようにすべきである」と主張します。この際に多く用いられるのが「べし」という表現です。それでは①、②のそれぞれでの「べし」の使われ方を確認しましょう。

①不満足な国家や国民の現状を述べるとき

・「~べからず」(~することはできない)を用いて、現状を否定します。

例 真理の多寡を問はば、これに答えて多しといふべからず(真理がどれほど多いか少ないかを問うならば、これに答えて真理が多いとは言うことはできない)

・肯定文での「べし」は(~に違いない・だろう・はずだ)などと訳します。

例 興行者の才不才によるべし(興行者の才能のあるなしによるはずだ) 

②筆者の主張を述べるとき

・「べし」や「ざるべからず」は(~なければならない)。

例 性情は淘汰せざるべからず(性質は良い方へと直さなければならない)

「む」の用法

①仮定(~ならば)・婉曲(~ような)

例 この習慣を破らんことを試みたり (この試みを破るようなことを試みた) 

②意思(~よう)

例 先ず読書を以てせん (まず読書をもってしようとする) 

③推量(~だろう)

推量の用法の多くは、反語文で用いられます。

例 いくばくかそれ、その廉角を存するをえんや(いったいどれくらい、きちんとしたかど〔正当な権利〕を有することができるだろうか、いや、できやしない)

古文における適当(~のがよい)・勧誘(~てはどうか)のような柔らかい表現が見られないのは、近代文語文では人々を啓蒙するべく強い主張で人々を導く必要があったからです。



いかがでしたか?

しっかり基本事項をおさえて本番を迎えましょう!